ロッカールーム

正月気分も醒め、控え室はいつもどおり。

オヤジたちは今日から仕事に出かける。

留守番ついでといってはなんだが、
去年から放置していたロッカールームの掃除を
じいさまに頼んだ。

ロッカールームといっても、
控え室のほうに私物を大量に
持ち込んでいる住人にとっては
単なる物置の一つでしかない。

そう認識していた。

掃除ついでに、
自分のロッカーを整理する事にした。

そこでふと目に付いた友の形見のヘルメット

あの戦争は何だったのだろう・・・
彼の死に意味はあったのだろうか?

・・・などと思いにふけっていると

何やら異様なにおいが・・・

何か腐っている?
隣の叫ぶオヤジのロッカーからだ。

開けてみると、いつのものやらわからぬ
腐った助六が・・・。

ついでに掃除をしてあげよう。

その時、帽子を発見。

おお・・・この帽子は・・・
叫ぶオヤジも戦争経験者なのか?
いや・・・そんなはずは無い。

戦争の何たるかも知らずに彼は
こんなものを持っているのか?

それとも自分と同じく思い入れのあるものなのか?

そういえば、今まで何も考えずに
ここで働いてきたが、
住人の事は何一つ知らないのだった。

オヤジも何か共感を得るものを
持っているのかもしれない。

なんだかんだと、オヤジのロッカーも開けてみる。

セーラー服・・・鞭・・・
手錠・・・・
これらの意味するものはなんだろうか?

もしかして・・・

オヤジ・・・すまない。
そんな趣味とは知らなかったんだ・・・
見るつもりは・・・

じいさまは心で謝っていた。

だが、じいさまは
Aローズさんのロッカーにも興味が湧いてしまった。

いかんいかん・・・女性のロッカーを覗くなんて・・・

開けてしまった!

Aローズさんのロッカーはまるで武器庫だ。

じいさまは腰が抜けそうになった。

して、この血みどろの刀が意味するものは?
彼女は冷静な顔をして
何人に手をかけたのだろうか?

これは絶対に口外してはいけない。
彼女を犯罪者には出来ない。

冷静なAローズさんでもあれだけの秘密を持っている。

じいさまはBローズさんのロッカーにも手を伸ばしてしまった。



違う!!
これは絶対に違う!!

誰しも他人に言えない秘密は
持っているものだ。

しかし、・・・

じいさまもまた、覗きをしてしまったという
他人に言えない秘密を持ってしまったのだった。