CGの元の雰囲気を変えてみたい・・・と思われる方は少なからずいらっしゃると思います。
そこでヘッドの造型自体に手を加える「削り」を行うのもひとつの手段ですよね。
一体どこをどういう理由でどう削っているのか?私の場合で紹介致します。
削りを始める前に・・・
CGの新ヘッド(特に素子)は削ると気泡が出てくる可能性があります。
気泡が出てくれば綺麗に消せない限りそのヘッドはジャンクとして使用できなくなります。
また、植毛をお考えの場合、先に削りを済ませて植毛しないと、植毛後の削りで気泡が出てきたら
気の遠くなるほどの労力が全くの無駄に終わります。
必ず削り完成後に植毛をしてください。
私の普段使用している道具です。
拡大ルーペ
細かい傷をチェックするのに
絶対必要です。
ルーター
コンセント式の方がパワーが持続します。
電池式でも構わないのですが、
すぐにパワーがなくなり苛立ちます。
サンドペーパー
耐水ペーパーです。
400番〜2000番位まで用意します。
ダイヤモンドヤスリ
できるだけ精度の高いものを形に合わせて
用意します。
ルーターの先端ビットも各種揃えておきます。
デザインナイフ
常に新しい刃にして準備しておきます。
切れない刃は怪我の元です。
ブラシ
歯ブラシでもいいですが、常に屑を払いながら
削りをチェックするのに必要です。
さて・・・素子さん、どうしましょうかね。
とりあえず化粧を落としてチェックしましょうか・・・
まぁ、個人的な趣味に基づいて変化をつける程度です。
@瞼が肉厚で腫れぼったく見えますね。
上瞼をすっきりとさせましょう。
A小鼻が広がって見えますよ。
ちょっと引き締めましょうか・・・
B鼻の横の線は老けて見えますね。
モールドのがたつきもありますよ。
均してなだらかにします。
Cふくれっ面はいいですけど
鼻の下を削って尖った部分を減らして
みましょうか。
この時、鼻の下が長くならないよう
上唇も新たに造型します。
Dへの字口・・・(−−)
下唇を少し切り落として穏やかな表情に
しましょうか。
E下唇の修正にあたり、新たに
唇ラインを造型しなくてはいけませんね。
そしたら顎のラインも変えなくては・・・
顎のラインを修正するとき、
アニメ系ヘッドのように細くしすぎてしまうと
鼻の大きさが目立ってしまうので程々に・・・
F下瞼のラインが左右揃うように少し切り落とします。その後眼球を調整すると下瞼も分厚くなるので
適正な粘膜幅を作るため削って整えます。
Gふくれっ面に伴い、頬のラインより
口の横のラインの方が前に出た状態になってます。
口に含んだ空気を抜く感覚で減らします。
H眼球が歪んでます。
できるだけ丸くします。
I彫が深くなるように鼻筋はスラリと通して
鼻の先端を小さくしてツンと上げてみましょうか。
(できるだけ自然に・・・)
綺麗な丸い瞳を描くために、また、
自然なハイライトを入れるために眼球を丸く削ります。
目のモールドにクリアーを塗ってあらゆる角度から
眺めてみると歪み部分が見えてきます。
クリアーでよく分らない方はホワイトでも大丈夫です。
左写真でもおわかりになると思いますが、
向かって右眼球にかなり歪みがありますね。
眼球下のたるみと、内側の出っ張りを整えます。
下瞼との境目のラインをシャープにする自信が
なければ、眼球には手を出さない方がまだマシです。
眼球の削りには、余程慣れてない限り
ルーター使用は禁物です。
掘りすぎてかえって眼球を歪めたり
深い傷を入れたりする原因にもなります。
サンドペーパーを駆使して地道に整えます。
左の写真は、全て削る前のもので、
光源の位置を変えてあります。
彫を深く見せるのにペイントだけで表現すると、
厚化粧の舞台化粧みたいになりがちです。
削りと塗りでできるだけ自然に見えるようにしたいのです。
唇のラインの修正は、デザインナイフで
上から下に斜めの角度で切り込みを入れ、
下唇の一部を切り落とします。
この時、あまり深く切り込みすぎないよう、
また、あまりたくさん切り落とさないよう
注意が必要です。
少なめに切り落とし、ルーターやペーパーで形を作る
という感覚で造型します。
削りはルーターを使用するとスピードアップできますが、
ルーターは決して仕上げではありません。
ダイヤモンドビットは思いのほか粗いのです。
大まかに形を作る程度に考えています。
最終的にはサンドペーパーの番手を上げながら
表面が滑らかになるまで仕上げていきます。
微妙に撮影角度が違ってるので、比べ辛いかと思いますが・・・
元の素子
削り済み
完成
0.1ミリ〜1ミリ程度の微妙な調整ですので露骨な変化はありませんが、
イメージに変化を持たせるには充分かと思っております。
完成写真はクールガールのコーナー、「素子U」をご覧下さい。
いいですね・・・?