2006年12月までのお写真。

翠さん、メンテナンス後のお写真です。
頭頂部に追加植毛して、メイクの調整をしました。

ファンタジックなお写真ですね〜(^^)
鬼殺し??

お年賀画像をいただきました!!
ありがとうございます〜(^0^)
ぼーずが何となくハーレム状態!?
きらびやかな衣装を着た愛娘たちに囲まれて・・・養命酒かよーー;

ぼーずの初夢。

本物ぼーず
   「あれっ!雪さんなんですか?それ!!」 

偽者ぼーず
    「俺と雪はこう言う仲なんだぜ」
   雪月花
     「ごめんね。あたしはこの人の
            方が良いの・・」

 ぼーずの初夢は2年連続で悲惨なものだった。

偽者ぼーずは今年も絶好調なのかな?

雪ちゃんを盗られないようにしないとね。

・・・って、ぼーずの恋は実ったのか?

レインスターさん、メンテナンス後のお写真です。
背景の画面は元のレインスターさんですね。
同じような色のドールヘアーでロングヘアーに変身です。
さらさら〜になりました(^^)
記念のお写真有難うございます!!

ダンデライオン様

変身後の姿を自分で確認?
つい、「鏡よ鏡・・・」って声が
聞こえそうですが・・・

「ウルフズレイン」
の設定で撮影くださいました。
レインスターさんと狼?

地面は雪のような柔らかな風合いになってるそうです。
背景も設定にあわせて自作されるとは・・・
ぼ〜っと浮かぶ月も触りたくなります。
いつも不思議な気持ちにさせるお写真有難うございます。

レインスターさん、
囚われの姫君・・・

ドラゴンスカルヘッドに
紙粘土で肉付けして着色・・・
すごい技ですね。

ドールアイも埋め込んでかなりリアルです。
肌の質感やツヤもいいですね〜!!
何でも作ってしまうダンデライオン様、
尊敬いたします。

製作技術もさることながら、
お写真のストーリー性についついはまり込んでしまいますわ。

撮影終了でホッと一息。
レインスターさん、コーヒータイムですか?

強酸性食材?
(そもそも食材なのかと・・・)

雪「さっき裏山(おいおい)で獲ってさ・・
  今絞めた所だから
  新鮮だよ〜早くぼ〜ず食べてみてよ」

ぼ「雪さんの手料理ですか!!
  僕の為に作ってくれたんですか〜
  感激だなぁ〜いただきま・・・」

  ぼーずは思う・・
  雪さんと一緒ならどんな夢だって現実に
  なればいいと・・
  でも・・今回は夢であって欲しいと
  思うのだ。

ぼーずの悪夢はまだ続いていたんですね〜(^^;

ぼーずの夢の雪ちゃんは
いつもこんな明るい日差しの中で
輝いているんでしょうか?

乗馬を楽しむぼーず。
ぼ「へい!!ブラザー カッコいいって言ってくで〜」
だそうで・・・(^^;

しかし現実の雪ちゃんはそう甘くないようです。

ぼ「雪さん!なにするつもりですか〜」

  雪「お約束に決まってるじゃない・・
     この世の果てまで走ってらっしゃい」

クールな表情の雪ちゃん・・・
この流し目にぼーずはやられたのか??

ダンデライオン様、きれいに撮ってくださいまして
本当に有難うございます!!

「真紅の瞳の女」

レインスターはドラゴンの瞼にそっと触れると
「おまえは少しおやすみ・・」と優しい声で言って
その瞳を閉じさせた。

ドラゴンは死にかけている・・・
それでも彼は私の事を兵士達が捕らえに来たら
戦ってくれるだろう・・
「そんな事をさせてはいけない・・
私が何とかしなくては・・」
レインスターはそう言って足元にうち捨てられた
大剣を拾い上げた。
先程までドラゴンに刺さっていた物だ。
いかにもその大振りの剣は彼女が使うには
重すぎた。
震える両腕で何とか持ち上げる・・
前国王の父親から剣術を習ったのは
何時の事だったろうか・・
その父ももういない。
彼女は愛する者全てを奪われたのだ。

大剣を構え・・
空間の一点を凝視すると・・
レインスターは何事か呟き始めた。

この世を人間が支配する前・・
世界はドラゴンで満ちていて彼らが
世の中を創っていた。
もう何千年も過去の話である。
レインスターの守護天使であるドラゴンは
その末裔だ。
今ではそのドラゴンも数を減らし数頭しかいない
とされている。
人々はドラゴンを畏怖と信仰の
対象としていた。
そんなドラゴンと心を通わせられる人間・・
それは「特別」な存在だった。
レインスターは小さい時からあのドラゴンの
心が分ったのである。
その娘を愛していたが何処かで父国王は
恐れていたのかもしれない。
その為娘を神殿の巫女にしたのだ。


エピローグ

「レインスターは自分の王国を見渡せる
アンティクムーンの丘にたたずんでいた。
既に陽は落ち始めあたりはオレンジ色一色
になっている。
あの最後の戦いからもう遥かな年月が
経っていた。
彼女はその戦いで大切な仲間を失った。
黒き3人の魔道士の力に対抗すべく
究極の魔法を使い同士討ちとなった大賢者・・
一度は人の姿を取り戻したものの
戦いの為に再び戦龍となり散った女賞金稼ぎ・・
彼女の相棒はその面影を胸に今も流離って
いるのだろうか・・

「女王陛下・・北の大陸の調印団が到着
しました。」
『わかりました・・今行きます。』
グリーンである。
彼女はレインスターと同じく歳をとる事がない。
サラマンディアの力のおかげだ。
彼は今でもレインスターの中にいるのだ。

『これで総ての国はつながったな。
戦いのない世界・・
おまえの理想郷の完成だな』
「はいサラマンディア様」
『だがな・・かってこの世を支配していた
ドラゴンは人間より知性も能力も秀でていた。
そのドラゴンでさえ創る事の出来なかった
理想郷が続くと思うか・・』
「その時は・・その時はまた私たちが
でしゃばれば良いことです」
『おまえは・・変わらないな』
「はい血筋ですから」
その言葉にサラマンディアは笑った。
レインスターはその姿の大半を山肌に隠した
夕日に向き直った。
気持ちの良い風が彼女の髪を撫でた。
その風を感じて彼女は静かに微笑んだ。

レインスターさんでお話を作っていただきました(^^)
ダンデライオン様の壮大なヒロイックファンタジーの世界です。

神殿・・それは代々の国王によって
封印された書物が数多く納められていた。
その中の1つをレインスターは盗み見た事があった。
[召喚憑依]
それは術者の生命力を急激に奪い
更には暴走の可能性もある絶対魔法である。
彼女は今それを唱えているのだ。

「私は・・一体誰を呼び出そうと
しているのだろう・・
私は・・私は小さい時からドラゴンの
心が分った・・
そう・・私はサラマンディアを
呼び出している・・」
かってこの世を支配していたドラゴン・・
その王の中の王。
軍神たるサラマンディア・・

魔法を唱え始めてからどれくらい経ったろう・・
その時人の声を聞いた。
5人・・10人・・もっとだ。
レインスターを捕らえに来た兵士達だ。
既にこの城跡は囲まれているのだ。
ドラゴンがその声に反応した。
傷ついた四肢を伸ばし頭を上げた。
黄金色の瞳は戦闘色の真紅へと変わった。

「お願いサラマンディア!
私に力を!!」

その瞬間・・
世界が白熱した。
部屋全体が光で満たされたのだ。
続いて・・圧倒的な力が自分の背後に
降臨したのを感じた。
『小娘・・おまえか私を呼び出したのは?』
「は・・いサラマンディア様」
『うむ・・言葉を話さずともよい・・
心で思うだけで私には伝わる』
「サラマンディア様・・私は・・」
『なるほど・・今おまえの心を読んだ
過去・・現在とな・・
ほう・・そのドラゴンを助けたいのか・・』
「はいサラマンディア様」
『小娘よ・・それだけではあるまい・・
おまえの心には大いなる復讐心がある
愛する者を奪った者を討ちたいとな・・』
「・・・・・」
『だが分っているのか?
わしがおまえに降臨すればおまえの命を
食わねばならん。
おまえの命の炎は弱すぎる・・
例え一時・・そのドラゴンを助けられたとして
残りの復讐が完了するまでおまえの命はもたんぞ』
「はい・・分っています。
せめてこのドラゴンだけでも・・」
『・・けな気なものだな・・
その心に嘘はないようだ。
うむ・・安心しろ・・小娘よ・・
お前の命など食らいはせぬわ。
代わりに私の命をやろう。』
「サラマンディア様!!」
『実は・・決めていたのだ・・
おまえから呼び出された時から既にな。』
「どうして・・そんな・・」
『なぜなら・・なぜならおまえは
私の娘の生まれ変わりだからだ。
私の愛しい娘のな・・・
この力!真紅の瞳!持っていくが良い!!」

レインスターの中に文字通り「力」がどっと
流れこんでいく。
まるで灼熱の太陽に照らされた感じだった。

それと同じく兵士達が部屋に殺到した。
「ドラゴンは殺せ!
もう力もないはずだ!!
王女は生きたまま捕らえろ!
抵抗したら腕の1本も切り落として構わん!!」
隊長と思われるその男の声に兵士達は間合いを詰めてきた。
レインスターは咆哮を上げているドラゴンに静かに言った。
「おまえはそこで見ていて・・」
ドラゴンは彼女の声に耳を疑った。
今までのレインスターの声と同じではあったが
その声の中に強大な存在を感じたからだった。
それは兵士達も同じだった・・
何かが違う・・この娘は普通ではない・・

レインスターは今まで両腕でかろうじて持っていた大剣を
片手に持ち替えた。
まるで重さを感じない。
只の棒きれのようだった・・

それを構えると・・彼女は始まりである一歩を
踏み出した。

後にここより伝説が始まったとされる。
「真紅の瞳の女」
彼女は長き戦いの末に王国を築き沢山の民から
愛された。
その王国はやがて世界をひとつにし
理想郷となったとされているが
今のレインスターが知る由もなかった。

真紅の瞳の女 第2話 「賞金稼ぎ」

バレンシアは夢を見ていた。
彼女が見る夢はきまって相棒がまだ人の姿を
していた時のものだ。

私達は賞金稼ぎだ。
女2人の賞金稼ぎ・・この世界では珍しい事で
その為少しは名が知られていた。
この仕事を始めたきっかけ・・
2人は幼い時から同じ村に住む友達同士だった。
ある時・・この村が野党の襲撃に合い
村は焼かれ村人の大半は殺されてしまった。
路頭に迷っていた2人を助けてくれたのは
後に養父となる賞金稼ぎの男だった。
その男は「鬼」のような顔に似合わず私達を
愛でて育ててくれた。
私達は成長し・・何時しか父親の仕事を
継ぐのを当然と思っていた・・
最も1番反対したのは・・その父だったけど。

賞金稼ぎの日々・・それは「旅」そのものだ。
定住する賞金首はいない・・
それを追う私達も一箇所には留まれないのが
宿命だったのである。

そんな旅のさなか老人と出合った。
後に旅の途中で分ったのだが
彼はとかく噂のある爺さんだった。
「北の山の大賢者」「高位の魔法士」「世捨て人」
「人嫌い」・・それは様々なものだった。
あの「太陽王」に神官として仕えていた・・
なんてものまであった。
「太陽王」は多くの民から愛され諸国の王達からも
尊敬を受けていた稀代に稀な名君である。
そんな「太陽王」だが重い病を患い亡くなったとされている。
しかしそれは表向きで彼の腹心が暗殺したのが
事実らしい。
「太陽王」には王女が1人いたのが彼女は
幽閉され今ではその腹心の男が王位を継いでいる。
当然「太陽王」に忠誠を誓った多くの臣下は
その事を認める訳がなかったのだが
腹心の男は「力」を使って
それを受け入れさせたのだ。
つまりは「魔法」だ。腹心の男の背後には
3人の神官が糸を引いていたとされている。

人嫌いの老人・・それは事実ではなかった。
本当の彼はとても愛嬌のある爺さんで
好々爺と言う言葉がぴったりの人物だった。
私達はこの爺さんが好きだったし
彼も私達を気に入ってくれた。
そうでもなければ彼との旅が
2年半も続く訳はない。
3人で沢山のものを見た。
「ハンティア山」に架かる10色の虹
黄金の魚が空を渡る「ドーマス」の渓谷
・・・
10年に一度しか獲れない果実を使った
蒼い民の作る「ネクトル」と言われるジュース・・
あれは上手い飲み物だった。
今でもあの味を思い出すとたまらなくなる。


そして・・・やがては旅の終わり・・
爺さんと別れる時が来た。
私達3人はお互い別れを悲しんだ。
爺さんは言った。
「こんな年寄りの私がこうも楽しい旅が
出来るとは・・
全てはお前達のおかげじゃ。
・・お礼にお前達に望む物をあげたい。
何なりと言ってくれ。」
私は別れを本気で悲しんでいたが・・
内心・・「やった!」と思ったんだ。
だってそうだろう・・
大賢者が願いを叶えてくれるなんて一生に
一度あるかないかだ。

私は言った「強い鎧が欲しいんだ。
とにかく強いやつ!」
爺さんは間髪入れずに魔法で鎧を出してくれた。
爺さんに言わすといくら魔法でも
0から物を造る事は出来ないらしい。
この鎧も爺さんの住まいの北の山から
空間を捻じ曲げて瞬間的に運んだそうだ。
つまりは・・爺さんのお宝だった訳だ。

この鎧は本当に凄くて魔法防御や物理防御は
当たり前。
こいつを着てると体力の消耗もない・・
更に驚いた事に歳もとらないそうだ。
私が感心していると・・
相棒がその上をいく願いを言ったんだ。
「最強の身体が欲しいの。
絶対に負けない強い身体が・・」
その言葉に爺さんは少し考えて
『分った・・お前の願いが叶うには少し時間が
かかる・・
明日の朝にはお前は最強の肉体を手にするだろう』
そして・・爺さんとは別れた。
今思えば相棒のその「願い方」が間違っていたんだ。
次の朝・・
相棒の悲鳴で目を覚ました。
仕事柄覚醒は一瞬で出来た。
「何だ!どうした!!」
私は剣を掴んで起き上がった。
そして・・信じられないものを目にしたんだ。
そこには「戦龍」がいた。
絵本とかおとぎ話に出てくるドラゴンさ。
戦龍はドラゴン族の中でも戦いに長けた種族で
あの伝説のドラゴン王「サラマンディア」も
そうだと言われている。
相棒がいない!
こいつが相棒を食っちまったのか?
あたしは剣を抜こうとした。
そして全てが分ったのさ。
『あたし・・どうしょう・・こんな身体に
なっちやった・・』
と戦龍は相棒の声で言ったんだ・・

それ以来・・相棒にかかった魔法を
解いてもらおうと
私達は相変わらず賞金稼ぎを続けながら
爺さんを探しているんだ・・

「バレンシア!起きて!今日は大事な日よ。」
相棒の言葉に起こされ眠気眼をこすった。
珍しい事に深い眠りについていたらしい・・
「何か・・素敵な夢でも見てたの?」
『ああ・・シャリオン・・昔の夢さ・・
とても懐かしい・・』
「そう・・準備はもう出来てるわ。」
『そうだな・・今日は・・真紅の瞳の女に
会う日だった・・彼女と約束はしてないけどな』

私達は彼女に会うまでその史上最高の賞金首を
討つつもりだったんだ。


ぼーずです。

何だか悟りを開いた爺様の趣が・・・
人間味溢れるキャラになってしまってます。

いかんいかん・・・
これからXボーグを見たら全てぼーずに見えそう・・・

素晴らしいストーリー有難うございます!!また別場面のお話も期待しておりますよ〜(^^)

ストーリーに出演中の大賢者、
どんなおっさんか気になったのですが
ご紹介くださいました。

どこかで見たような顔だと思ったら、
エイリアン2のアンドロイド役の
おっさんでした。
こんなフィギュアも存在するんだなぁ〜・・・

でも、この顔を見ると、口から白いものが
出てきそうな気がしてならないですわ。


第3話 メシアと殺伐王

バレンシアと相棒は身支度を整えると
「跳躍」の姿勢をとった。
少しでもリスクを避ける為
夜になるこの時間を待っていたのだ。

「跳躍」とは戦龍の強靭な脚力を使い
文字どうり空を駆ける事を言う。

「雲の上は風が強いみたいだな」
『ええ、しっかり?まっててよ』

跳躍を使えば例え数千の兵に守られてる
「真紅の瞳の女」でも討つ事は可能だろう。
夜空から突然あたし達が目の前に降り立ったら
体勢を整える間もないはずだ。


後に黒き魔道士と呼ばれる
3人の神官の力で太陽王の国はその男のもの
となった。
太陽王に忠誠を誓った全ての臣下達は
「その男」こそ我らの王だと偽りの記憶を
与えられたのだ。
男は自らを「殺伐王」と名乗り従兄が王である
隣国と共に強大な軍事力で周辺諸国を侵略、属国
とした。その支配は広大となり
今や彼こそが支配者であった。

そんなある日辺境の小国に「真紅の瞳の女」
と呼ばれる解放者が現れる。
彼女とその志を同じくする者達は
たちまちの内に殺伐王圧政下の国々を
解放していった。
彼女のその勇猛果敢で人間離れした戦いぶりに人々は
すっかり魅了された。
元々力によって支配されてた国々である。
きっかけがあればその支配基盤は簡単に
崩れるのだ。
人々は「真紅の瞳の女」を
救世主、メシアと呼んだ。
彼女については・・あの「太陽王」の娘であるとか
その身体にドラゴンが住んでいるとか噂されたが
真意は分らない。
しかしその噂が更に人々に強い志を
与えたのは確かだった「殺伐王を倒せと言う・・」

当然「殺伐王」がこの事態を放って置く訳はなかった。
彼は本来は自国の正規軍を差し向けたかったのだが
解放軍の支配地とは距離がある為
断念しなければならなかった。
魔法と距離は反比例するのである。
遠距離で兵士を操るのは黒き魔道士達に
とって多大な負担を強いるのだ。
その為彼は傭兵刺客を何人も送り込んだ。
しかしその目論みは成功せず只の1人も
彼の元には戻らなかった。
では刺客は全てメシアの軍に討たれたのだろうか?
そうではない・・彼らもまたレインスターの人を魅了する力と
サラマンディアの力に触れ
何をするべきかを理解し
志を同じくして戦列に加わったのだ。
こうしてメシアの軍は日々その数を増やしていった。
「殺伐王」との直接の対決も目前である。

1度目の「跳躍」は行われた。
あと2度の跳躍でメシアの軍が
駐屯しているとされる場所に降り立つ事が
出来るだろう。

相棒が言った。
『私は降り立ったら舞えばいいのね?」

戦龍は本来「剣」や「槍」といった武器を
手にする必要はない。
全身そのものが武器だからである。
特に肘から出ている筋組織が硬化した
ブレードは強力な物だった。
「舞い」・・とはこのブレードを展開して
敵大軍の中に踊りこみ・・円弧を描くように
動くのだ。
その「舞い」が終わった時には地上に立つ敵は
もはや存在しないと言われる。

「いや・・まだ迷っているんだ・・
本当に彼女を討つのかどうか・・」
バレンシアはそう答えた。
『実は私も・・彼女に懸った賞金は
莫大だけど・・殺伐王は本当は嫌いだし
無駄な戦いもしたくないし・・』
「まぁ・・いいさ・・彼女に会ってから決めれば・・
あの女の何が人々をそれ程魅了させてるのかを
見てみたいんだ」

彼女達は知らない。
レインスターが既に2人を待っている事を・・
グリーンが水晶球で何日も前から2人が
来る事を予知していた事を・・



真紅の瞳の女 
第4話「魔法士グリーンと新たなる仲間」

レインスターとグリーンは数日前に
陥落させた城塞を後ろに眼前に広がった
草原を見つめていた。
ここより先は殺伐王の直接統治下である。
遂に彼女達はここまで来たのだ。

「あの2人・・戻ってくるでしょうか?」
グリーンが言った。
『あなたの水晶球でも分らないんでしょ・・
私にも無理よ』
「2人が仲間になってくれれば
力強いんですけど・・
私生きている戦龍を始めて見ました」
『そうね・・彼女達なら数百の騎馬兵とも
渡り合えるでしょうね』

グリーンは難度の高い「力」を使う
若い魔法士である。
彼女の家系はその血筋ゆえ
代々優れた魔法士を世に出していた。



今の時代各地にある神殿や寺院は
信仰をする場であると共に
魔法士を育成する学び舎でもあった。
だが殺伐王が支配者となった今・・
彼はその一切を禁じてしまったのだ。
未来において魔法士達が自分に反旗を
翻すのを芽のうちから潰すのが目的だった。
それに対し多くの魔法士が異議を唱えた。
彼はそんな神殿や寺院を焼き払い
魔法士達を虐殺したのである。

グリーンの一族も他の魔法士達と力を合わせ
果敢に戦ったのだが殺伐王の強大な武力によって
1人また1人と散っていった。
そして一族で生き残ったのはグリーンだけだった。

思えば同じ復讐を誓うグリーンとレインスターが
出会うのは運命だったのかもしれない。

出会い以来グリーンはレインスターと
同じ志を持つ者達の窮地を
その「力」で幾度も救っているのだ。

『それより・・敵は何処まで来たかしら?
あなたの予知の良い方?悪い方?』
レインスターのその問いにグリーンは
意識を集中し「千里眼」の力を使った。
瞬く間に彼女の脳裏に情景が映しだされる。


「敵は・・敵の前衛はヤンダルの峠に
入るところです・・数は・・おおよそ500騎・・」
『前衛?では悪い方が当たったのね』
「はい・・少し距離をおいて後衛が300・・」
『そう・・ハンティアを焼いていた部隊が
もう戻ったのね・・』
「いずれも殺伐王の従兄の精鋭軍です」
『精鋭軍か・・』

この事態はグリーンの予知によって
レインスターに既に報告されていたものだった。
しかし・・「悪い方の予知」が現実と
なった今・・
レインスターは改めて多くの仲間達の
犠牲を覚悟しなければならなかった。

数ではメシアの軍の方が遥かに多いい。
しかし彼女の同志達全てが戦いに長けた者
ではない。
志を同じくする諸国の王達から
貸し与えられた兵士達・・傭兵刺客達・・
そして・・農民や商人・・
戦いを専業にするものは一体何割だろう?
その為レインスターと戦いのつわもの達は
何時も前面に立ってその身に返り血を
浴びねばならなかったのだ。

『手はず通りグリーンは城塞で
敵を迎え撃って下さい。
私は遊撃隊と共に敵の側面を突きます』
駆け出したレインスターをグリーンが引き止めた。
「待って!峠に誰かいます・・あの・・あの2人です」
『まさか・・』
「彼女達・・敵と合流するつもりじゃ」
その言葉にレインスターは叫んだ。
『グリーン・・手持ちの騎馬兵を全部出します。
峠を迂回して敵後衛を背後から急襲します』
「それって・・」
『彼らはもう仲間よ』


バレンシアは峠を登ってくる騎馬兵の地響きを
聞いていた。
「今度は思う存分舞えるな・・相棒」
既にブレードを展開した戦龍は少し笑いながら
『そのつもりだけど・・あんた私からちゃんと
離れていてよね・・この前みたいに・・』
「ああ分ってる・・」
以前敵を倒すのに夢中で、いつの間にか
バレンシアは戦龍の舞の間合いに入っていた事があった。
彼女はブレードの直撃を受け吹っ飛ばされた。
もし、特製の鎧を着ていなかったら・・
そう思うとぞっとする。

『あの人・・大したものだったわ・・』
「ああ・・本物だった・・何で人々が彼女に惹かれるのか
分った気がしたよ」
『彼女・・見ているんでしょうね?』
「おまえもさっきから感じてるだろう・・
背中に当たる視線をさ」
『ええ』
「たぶん・・あのグリーンて奴の千里眼だ。
この光景を見てレインスターに報告してるはずだ」

この戦いは本来しなくてもいい戦いだ。
だが・・彼女に見せたかったのだ・・
仲間になる前に・・あたし達の戦いを・・

更に地響きが近くなった。

バレンシアは長剣を抜き放つと
敵大群に向かって走りだし・・
戦龍は跳躍した。

「ケルベロスの乙女」です。
戦の合間のささやかな休息ですか・・・

「真紅の瞳の女」
アイキャッチ画像です。
レトロなポスターの趣の味のある画像は
ミュシャを彷彿とさせますわ。

真紅の瞳の女  第5話 最後の戦い 前編


「約束の地」と呼ばれる台地を挟んで
両軍は本格的な戦闘を出来ぬまま2日前から
対峙していた。
小競り合いはあるもののお互いに相手の出方を
図りかねているのであった。
レインスターは大地の向こうにおぼろげに見える
城を見ていた。
その雄大で華麗な外観から古の言葉で
「月の滴」と呼ばれている城・・
今やあの殺伐王の居城である。

「あの城であなたが生まれて育ったのね」
いつの間にか背後に来たグリーンの言葉に
レインスターは振り返った。
バレンシアも戦龍もそこに来ていた。
「あなた・・戦いたくないのよね・・
分かるわ・・今度の相手はあなたのお父様・・
太陽王に仕えていた兵士達だもの・・」
その言葉に続いて・・バレンシアが言った。
「城とこの大地は距離が近い・・
兵士達にかけられている魔法は完璧だ・・
それを解く術はない・・そうだろ・・」
レインスターはその最もな言葉に
唇を噛んだ・・・
「何か・・彼らと戦わない方法は・・跳躍・・」
「それは・・私達も考えたよ・・蛇の頭だけ
潰せば良い・・敵は殺伐王と3人の魔道士
だけだって・・」
バレンシアが言った。
「だけど・・相棒の戦龍は3人も抱えて飛ぶのは
無理なんだ・・
グリーン・・お前の魔法はどうなんだ・・
飛ぶ力を使えないのか?私は戦龍と一緒に・・
お前はレインスターと共にだ」
「ごめんなさい・・飛ぶ力は
本当に難度の高い魔法なの。
出来るのは大賢者と呼ばれるほどの称号を持つ者ぐらいしか出来ないのよ・・
私の一族でもこの魔法を使える者は
1人もいなかったの・・」

あのヤンダル峠の戦いは全くもって
電光石火の如く終わった。
バレンシア、戦龍とレインスター率いる騎馬兵に
挟み撃ちにされた敵は数刻で敗退したのだった。
この知らせに殺伐王は激怒し属国の王に兵の
参集を命じたが・・どの王も従わなかった。
「なるほど・・あの小娘と私を天秤にかけていると
言う訳か・・
しかし・・あの小娘に参軍する王もいない・・
全くもって腐りきった輩よ・・
小娘に力を貸す小国の王達の方が
まだましと言うものだ・・」
そこに黒き3人の魔道士が来た。
「だから言ったのだ・・あの王女を幽閉などせずに
あの時殺しとけば良かったのだ」
その言葉にもう1人の魔道士が言った。
「今更・・そんな事を言っても仕方ない・・
あの王女は宝玉のような娘だった・・
彼が生かしておいたのも無理はないさ・・
まぁ・・安心しろ・・この戦いに勝つのは我らだ」
「その通りだ・・奴らに付いている魔法士の力など
問題ではない・・それに我らの軍はあの太陽王の
鍛えた最強の兵士達だ。
小娘の烏合の軍など蹴散らしてくれるさ」
その言葉に殺伐王は頷いた。


その時・・レインスターの心に
サラマンディアが語りかけた・・
「我が愛しの娘よ・・彼が帰って来たぞ・・
感じるだろう・・おまえにも・・」
「・・・感じます・・お父様・・来てくれたのですね・・」
「そう・・彼は傷が癒えたのだ・・」
レインスターは天空を見上げ口笛を高らかに
吹いた。
グリーン、バレンシア、戦龍はその口笛に
何が起きたのか分からずお互いの顔を見つめた。
その瞬間・・彼らに照りつける太陽を口笛に
答えた巨大な影がさえぎった。
「ドラゴン!」
「あれが・・レインスターの守護天使か!!」
「そう!あれが私達の翼よ」





「約束の地」と呼ばれる台地を目指して
1つの影が空を飛んでいた。
大賢者と呼ばれる彼が・・
その噂を聞いたのは3日前だった。
かって・・彼が旅を共にしていた娘達が
自分を探している・・・
あの旅は・・彼にとって心の底から
楽しく良い思い出であった。
彼は今でもその旅の夢を見る。
その夢を見た朝は決まって極上の
1日が始まる気分であった。
彼は・・噂を聞いて直に水晶球で
2人の娘の居場所を突き止めた。
そして・・眉をひそめたのだ・・
「あの2人の娘に・・黒き災いが降りかかろう
としている・・」
今や・・時は白き力と黒き力が世界の行く末を
決めようとしている・・
老人にとってそれはどうでも良い事であった。
自分に干渉をしなければ・・世の中の行く末など・・
しかし・・

大賢者と呼ばれる老人はかって・・
太陽王の下で神官として働いていた・・
全ての神官の上に立つ大神官としてだった。
しかし・・老人の性格故・・
その窮屈な暮らしが耐えられなくなり・・
太陽王が止めるのも・・かなわず・・
職を辞したのだ・・
その直後・・太陽王は・・かっての大賢者の
部下の3人の神官によって暗殺されてしまった・・
老人はそれこそが自分の責任であって・・
自分があの時・・職を辞さなければ・・
それが起きなかったと思い自らを責めた。
彼は・・その時から世捨て人と呼ばれる人生を
送るようになったのだ・・

「私は・・あの時勇気がなかったのだ・・
あの3人を・・太陽王亡き後・・
直に罰するべきであった・・」
老人は飛ぶ・・・
彼にとって・・最後の戦いになる場所に
向かって・・・

おお・・・マフラーが天使の羽に・・・

雪ちゃんとぼーずです。
なかなかいいムードです。

でも何故か笑ってしまう・・・・^^;

ぼーずが登場すると
どんなシリアスな場面でも
笑いに変わってしまうんですよね・・・

この人間よりも人間臭いぼーす、
そのけなげな想いに
哀愁と切なさを感じてしまいますわ。

この表現力!
さすが魔術師ダンデライオン様!!


真紅の瞳の女 「最後の戦い 後編」

レインスター達はドラゴンの背に乗ると
殺伐王の居城を目指して飛び立った。

それに呼応しメシアの軍は殺伐王と従兄の
連合軍に襲いかかる。
ここに最後の戦いが始まった。

グリーンとサラマンディアは完璧な魔法壁を
展開させた。
その為、敵軍の上空を跳び越しても誰1人
気付く者はいなかったのである。
「直に城に着くわね。どうやら魔道士達の
千里眼にも引っかからなかったようね」
戦龍はそう言ったが・・
レインスター、グリーンとも表情を
引き締め・・胸の中でこう呟いた・・
「果たしてそうだろうか・・あの魔道士達が
気ずかぬはずはない」

突然、空から降り立った者達の急襲に
只でさえ手薄となっていた城の軍は瞬く間に
蹴散らされた。
先鋒を務めるバレンシア、戦龍の圧倒的な
力で城の最深部へと進む。
そして遂に殺伐王を最上階へと追い詰めた。
彼は最後の瞬間まで魔道士達に助けを求めたが
ついぞ3人はその姿を現す事はなかったのである。

「何・・このあっけなさわ」
バレンシアが呟いた。

城の外・・約束の地では主人の死を知らぬまま
戦いは続いている・・
その合戦の怒号が今や静寂に支配された
この部屋に遠く聞こえていた。

「そこにいるんでしょ!出てきなさい」
レインスターは叫んだ。
彼女の声が最上階の広間に響きわたる。

「お前達の戦い方を直接見たかったのでな」
「うむ・・ちと・・我が王を助けるのが
遅れてしまったのぅ」
「残念な事じゃ・・また新しい傀儡を立てれば良いか」
3人の黒き魔道士達はそれぞれ笑いながら言葉を発すと
その姿を暗闇から現した。
「おお・・姫様・・久しぶりでございます。
しかし・・何と言うお姿ですか。かって虫も殺さなかったあなた様が、
手に鮮血の滴る大剣などお持ちになって・・
今では人々には鮮血の魔女と呼ばれているとか」
「仕方ないでしょう・・我が友よ」
1人の魔道士がこれ見よがしに他の魔道士に
言った。
「この娘の中には伝説の化け物が巣くって
いるのですから」
「そうですなぁ・・ドラゴン・・人より劣る存在、
血に飢えた野蛮な獣ですな」
「その存在を一部の人間達は信仰の対象と
してるようじゃが・・わしは露ほども思わんのぅ」
「姫様・・あなた様は幼い頃より野蛮なドラゴンと
心を通わせられる数少ない人間じゃった」
「わしらは、それが大嫌いでのぅ・・
全く虫唾がはしったものじゃった」
「知っていましたか?あなたのお父上・・太陽王も
実はそんな姫を毛嫌いしておったのですよ。
ですから・・王宮から遠ざける為に、
あなたを巫女になんぞ
したのです」

グリーンの言葉が会話を遮った。
「言う事は・・それだけ?自らの王を殺め、
その姫をも亡き者としょうとした大罪人!
そして罪無き多くの魔法士達と我が一族を
根絶やしにした。この恨み・・今こそはらしてやるわ!」

「ほほ!元気が良い若い魔法士じゃのぅ。
これまでは随分頑張ったようじゃが・・
我らに、その力通じるかのぅ」

そんな会話を聞いてレインスターの瞳は
更に深い紅に染まっていく・・
彼女は血の滴る大剣を振り上げると言い放った。
「私が望んだんじゃない・・生まれながらの力も・・
全ては輪廻の宿命・・大いなる存在の思し召し
そして・・この鮮血はお前達がさせた事ではないか!」
レインスターのその言葉を合図に
4人は魔道士達にに斬りかかった。
戦龍のブレードは魔法士達の影を追い、
バレンシアの剣はその残像を突いた。
グリーンはその力で魔道士の攻撃を受け止める。
何時果てることも無い戦い。
圧倒的な黒い力・・
やがてグリーンが傷つき気を失った。力の均衡が崩れ始め
一気に戦いが救国の戦士達に不利な流れへと向かう。
「全く・・弱い、弱いのぅ。その程度の力で、
この世を二分する存在に成っていたつもりか」
魔道士の力で、まずバレンシアの身体が壁に叩きつけられた。
魔法防御の鎧の威力も彼らの前には無力だった。
相変わらず戦龍のブレードも彼らの身体に届く事が出来ない。
「さて・・そろそろ陽もくれ始める頃じゃ。
戦いを終わりにするか・・我が友たち・・」
「うむ・・そうだのぅ・・外の戦いも、我が軍が優勢じゃしなぁ」

レインスターは唇を噛んで大剣を構え直した。
「サラマンディア!私に力を。この身体が壊れてもいいから
更なる力を下さい!!」

その時、何の前ぶれもなしに轟音と共に広間の天井が砕け散った。
「何が起きたのだ!!」
そこにいた人々誰もが訳も分らず天井を見上げた。

無くなった天井の向こうには暮れかかった空が見えた。
そこに彼がいたのだ。
北の山の大賢者と呼ばれる彼が。

「貴様は大神官!何しに来た!」
魔道士達は予想だにしなかった、その来訪に
明らかに動揺した。
「お前達を罰し、罪を償いにだよ。」
大賢者は自らの身体を浮かせながら3人の魔道士を見下ろして言った。
そして、バレンシアと戦龍に向き直りその顔に笑みを浮かべた。
「じいさん!!」2人は同時に懐かしさを込めて叫んだ。
「お前達にまた会えるとは・・シャリオン、お前の願いも分っておる・・
この戦いの後に、直に叶えよう・・・
これ以後は・・私がこの戦いを引き継ごう・・一切の手助けは
無用じゃ・・」
こうして上位の力を使う者達の究極とも言える戦いが始まった。
両者の間の空間が沸騰し、プラズマが走る。
そこではお互いの身体の動きは一切ない。
しかし・・その間には想像を絶する力同士が激突していた。
もし何も知らない者が割って入り込んだら瞬く間に
炎に焼き尽くされるだろう。

レインスター、バレンシア、戦龍は戦いの行方を
見守るしか出来なかった。
やがてグリーンが意識を回復し・・大賢者に加勢する為
力を使った。
その瞬間、絶妙に保っていた力のバランスが崩れる。
大賢者も3人の黒魔道士も・・それを見過ごす訳はなかった。
両者はその持てる力の全てをぶつけた。

そしてあたりは白熱し・・何もかもが見えなくなった・・

視界が開けた時・・大賢者は床に倒れ伏していて、
3人の魔道士が立っていたと思われた場所には黒焦げになった
法衣がくすぶり、その姿は消えていた。

「じいさん!!」バレンシアと戦龍が駆け寄った。
まはや虫の息の老人は・・そっと戦龍の手を握ると、
最後の力を使って・・何事か唱え始めた。
呪文が終わると同時に光が戦龍の身体を包み、
その身体は人間・・シャリオンへともどっていた・・
老人の顔は安らかなものだった。
シャリオンはその手を握り続けている・・

外の戦いは魔道士が倒されたと同時に終わっていた。
彼らが兵士達にかけた「力」の威力も消失したのである。
従兄の軍も全てが降伏し、この戦いは完全に終結した。
レインスターが崩れた屋根から、その身を兵士達に見せると
彼らは今や真の王になった彼女の為に雄たけびを上げた。
その声が響く中・・上空をドラゴンが雄大に旋回する。

グリーンがレインスターの傍らに来た。
「終わったんですね・・これで・・」
「ええ・・でも・・」
二人は今も大賢者に寄り添うバレンシアとシャリオンを見ていた。

その時・・2人は同時に感じたのだ・・
身の毛もよだつ程の敵意を・・
「何・・これ・・」
「まさか・・・あそこ・・何かいる・・」
その声にサラマンディアが言った。
『気をつけろ・・奴らはまだ・・』

大賢者の亡がらに寄り添う2人の向こう・・
その後ろの壁で黒い影が揺らめいている・・
やがてそれは1つの形を作り始めた。
「うむ・・仲間・・友・・と言うやつは良いものだ・・」
今や1人の黒き魔道士の姿を取り戻した影は言った。
その言葉を聞いた瞬間4人の身体は動く事が出来なくなってしまった。

「2人の友が言ったのだよ・・大神官の力を受け消え去る時に
お前に最後の命をあげると。
だから・・4人を必ず道ずれにしてくれとな・・」
魔道士はそう言うと・・右手を前にかざした。
見る間に黒い4本の矢が浮き出した。
「ああ・・この命も・・もうもたんか・・だが・・先に逝った友よ・・
願いは叶えるぞ・・」

バレンシアは剣を掴み立ち上がろうとした。
彼女から魔道士までは目と鼻の先だ・・・しかし・・

黒い4本の矢が・・今まさに放たれようとした時・・
ずっと老人の手を握っていたシャリオンが咆哮をあげた。
もはやそれは人間の声ではなかった。
間髪を入れずに彼女の身体は戦龍へと変態した。

「なんだと・・この女!自分で擬態する事が出来るというのか!!」
放たれた4本の矢は立ちふさがった戦龍の巨体に突き刺さった。
同時に呪縛の解けたバレンシアは閃光の速さで魔道士を打払った。

そして・・彼女が振り返り見たものは・・
再び人の姿を取り戻し・・倒れゆく相棒シャリオンだった。

ダンデライオン様、素敵なお写真とお話
有難うございます!!

エピローグ+ 「永遠のフィナーレ」

「何年ぶりかしら・・彼女と会うのは?」
「何年?・・十年でも足りませんよ、レインスター」
「・・そうだよね・・あの時以来だものね」

2人は宮殿を抜け出して
お気に入りの場所・・アンティクムーンの丘にいた。
季節は秋も終わりで・・吹く風には
冬の香りが感じられた。

「あ!来た来た。」
「はは・・ちゃんとあのドレスを着てるわ」
「そりゃそうですよ。パンデ・モニアの言いつけには
逆らえませんよ」
「そっか・・バレンシアでも無理か。
でも似合ってること」
「素材は良いですから」
そう言ってレインスターとグリーンはお互いの
顔を見合わせて笑った。

パンデ・モニアと言うのは・・レインスターの
身の回りの世話、全てをこなす女官長である。
その迫力のある容姿と豪快な人柄で城内の
誰からも愛される女傑なのだ。
そして・・彼女に「バレンシアと名乗る人物が
会いに来たら、このドレスを着させて」
と命じたのだった。

「おお!レインスター、グリーン久しぶりだなっ!
懐かしいよ、本当に。
あの頃のままじゃないか二人とも」
「そう言うあなたも。あの鎧を今でも着ているのね」
「ああ。お前達の方は・・相変わらずサラマンディア
のおっさんのお陰か・・
まったく、あのおっさん娘の身体に
まだ巣くっているのかよ。助平な親父だぜ」
その言葉にサラマンディアが直に反論した。
『おいおい!バレンシア!何て事を言うんだ。
わしだって好きでこうしてる訳ではないんだぞ。
娘のたっての願いだからしとるのだ』
「はは!分ってるって。冗談だよ。
おっさんも元気そうだな。あたしの名前・・
憶えていてくれたんだ。嬉しいよ」

「さっき・・このドレスを着させられたんだ。
まったく!ピラピラしてて落ち着かないよ。
二人は・・あたしが来るのを分ってたみたいだね」
「ええ・・グリーンが2日前に水晶球で占ったの。
懐かしき友・・遠方よりきたる・・って。
だから歓迎会の用意もしてあるのよ」
「歓迎会!あたしの為に?」
「そう、あなたの為に」
「身内だけで?」
「そう、身内だけで」レインスターは微笑んだ。

「バレンシア、ネクトルってジュース飲みたがって
いたでしょう?レインスターはあんたの為に
わざわざ取り寄せたのよ」
「えっ!あのネクトルを・・嬉しいなぁ。
グリーンはもう飲んだんだだろう?
どうだった?凄い美味しかっただろう?」
「うん・・そうでもなかった。あたし・・美味しいものを
何時も食べ慣れてるから」
「おい!グリーン!!何時から仏頂面のお前が
冗談を言うようになったんだ。この口か冗談を
言う口は!!」
そう言ってバレンシアはグリーンの唇を引っ張った。
「やめて!痛いじゃない〜」
2人はふざけ合って大笑いした。
笑っているバレンシアを見て・・レインスターは
彼女の相棒・・シァリオンの死がもはや彼女の
明日を奪うもので無くなったと感じて嬉しかった。

皆で宮殿に向かって歩き出した。
「それにしてもさぁ・・このドレスを着させた・・
あのパンデ・モニアって人・・凄い迫力だったよ。
着たくない・・って言ったのに・・逆らえないんだ。
女王陛下の前で無礼なお召し物はいけませんって。
あの人・・まんま賞金稼ぎにもなれるな。
顔みただけで賞金首が降参するぜ」
「いいの〜そんな事言って。
彼女も歓迎会に呼んで・・告げ口しちゃおうかなぁ〜」
「おいおい・・それはかんべんな」
3人は笑った。
笑い声があたりに響く。

やがて・・それも小さくなり・・
・・・風に消されて聞こえなくなった。